物語
大阪に主人を亡くし女手一つで小さな焼肉屋を経営する女性桜子がいた。桜子には小学生の息子健之助がいた。その健之助の手をかり桜子は店を経営するが職人だった亡き夫タカシの様には行かず店は苦しい状況となっていた。
やがて様々な事に店をやり通す気力が折れそうになった時、一人の男、前川太が雇って欲しいと来る。前川は懸命に店をやりくりする桜子に母の姿を重ねていた。
前川の家族は東京浅草にて焼肉屋を営んでいた。その主人の父親徳雄は酒と女を好む非道な男だった。その為妻の諄子は苦労に苦労の人生の中、息子と娘を産んだ。心優しい母を慕う息子の太は幼い頃から店を手伝い働いた。
太が高校生になりボクシングを初めた頃、徳夫は酒に酔い燃え盛る七輪に諄子の顔を押し付けようとする。母を守ろうとした太は初めて徳雄に手をかけた、その事で激昂し包丁を持ち暴れる徳雄と揉み合い殺してしまう。前川はその後逃げ続けて生きたのだった。
桜子は前川に救われる。そして逃亡の果てに前川も桜子と健之助に救われるような時間を得た。しかしその幸せは……
七輪を関西ではひちりんと発音する。そのひちりんの煙に揺れる人の心を描く作品。











